宣伝会議の広告掲載事例

宣伝会議の広告活用事例をご紹介いたします。

ブランドとクリエイターが対等に制作する新鮮さ
「クリエイティブリレー」から生まれた3本の動画

VAIO株式会社

マーケティング統括部 統括部長 高木充恵氏

利用媒体:月刊『ブレーン』 クリエイティブリレー

2022.04.01

クリエイティブリレーは商品やサービスの新しい表現を、複数のクリエイターとリレー形式で開発していく連載企画。
VAIO株式会社様(以下VAIO)は、クリエイティブリレーを活用し2021年2月に発表された新製品「VAIO®Z」をテーマにしたムービーを3本制作しました。
本記事では、ご担当の同社マーケティング統括部 統括部長 高木充恵氏にインタビューを行いました。

ポイント
・「すべてを広告主がコントロールしようとしない」という新たな挑戦の場に
・完成後は社内でフル活用。「良かった」という声も各所から
・こだわりの強さとフレキシブルさを持つVAIOをどう表現するか。 新しい切り口をクリエイターに期待
・クリエイターとVAIOの新たな出会いをつくるために、継続的な取り組みを。

イメージする表現の方向性から 3チームのクリエイターにオファー

―月刊『ブレーン』とのコラボの全体像や背景について聞かせてください。
2021年2月に「VAIO®Z」というフラグシップ製品のグローバルローンチが決まり、今までの製品のプロモーション施策とは異なる新しい施策を実施したいという思いから、クリエイティブリレーへの参加を決めました。3チームのクリエイターとそれぞれ動画をつくるというコラボで、動画のテーマはVAIOとクリエイターの新しい挑戦です。

制作当時は「私たちの強みであるデザインと技術で様々な挑戦をし続ける」というVAIOの社内風土を再確認した時期にあたります。「VAIO®Z」というプロダクト自体も開発過程で様々な挑戦とブレイクスルーがあり、商品のメインターゲットである“トップビジネスアスリート(様々な領域でトップアスリートのようにビジネスをされている人)”も自身を高める挑戦を日々続けています。

動画のテーマも、社内風土と製品開発、ターゲットの共通点から設定しました。また、3チームのクリエイターも、「ブレイクスルー」「グローバル」「ウイット」という「VAIO® Z」の製品コミュニケーションで大切にしたい軸から選定しています。動画の掲出場所はターゲットとなるトップビジネスアスリートとの接点の多さから、当初はタクシー内広告を想定していました。しかし、最終的にはタクシー内広告にとどまらず、SpotifyやTSUTAYAが運営するコワーキングスペース、オウンドメディア、展示会や海外での活用まで幅広く展開でき、大変実りの多い取り組みとなりました。

「すべてを広告主がコントロールしようとしない」という新たな挑戦の場に

―実施したきっかけ、取り組みの目的について教えてください。
これまでも様々な形でのコラボはありましたが、今回はVAIOとクリエイターが対等に取り組む創作活動であるという点が非常に魅力的に感じました。広告主である私たちがやりたいことだけ、あるいはクリエイターがやりたいことだけを行うわけではありません。通常であれば何かアセットをつくるとした場合、クリエイターの方の発想を起点とした際もストーリーから訴求の仕方、パソコンの登場方法に至るまで、製品にとってベストな形を出そうと当社がついついコントロールしたくなってしまいます。一方、クリエイター側も最大限に私たちクライアントの意を汲もうと接し、トーンや製品の見せ方などが広告主である私たちが思うベストなものに寄ってきてしまいがちです。

ところが、今回の企画では私たちは「VAIO視点にとらわれず、クリエイターと一緒にVAIOの魅力を引き出していきたい」という考えのもとで参加しています。クリエイターにインプットし過ぎないように向き合い、クリエイターの方々の意思や感性を最大限尊重した結果、仕上がった作品は新鮮なものになりましたね。

完成後は社内でフル活用。「良かった」という声も各所から

―作品を見た印象や周囲の反応はいかがでしたか。
イベントや店頭、海外でのパートナー活動に使いたいなど、社内各所から「こういったアセットがあると嬉しい」という声が聞こえてきました。そもそも当社はソニーから独立した会社であり、設立以来ビジネスの中心をそれ以前の個人向けのPCから、高性能で品質が高い法人向けのプレミアムモバイルにシフトしています。当然マーケティング活動も法人向けが中心でした。今回のようなコンシューマー向けのアセットやムービーは実は多くない状況が背景にあったため、様々な社内活動に活用されたとも考えています。

また、3本の中で最初の動画にあたる「挑戦って」篇(制作:AOI Pro.)は、「ブレイクスルー」をテーマにしたVAIOらしさを全面に出した王道の内容と言えます。若者が抱える困難をブレイクスルーする瞬間を描いていたこともあり、「勇気づけられた」という声を各所からいただきました。

こだわりの強さとフレキシブルさを持つVAIOをどう表現するか。 新しい切り口をクリエイターに期待。

―新しいクリエイターとのコラボに期待していることはありますか。
やはりクリエイティブ制作の際には、どうしても慣れ親しんだ訴求になりやすく、社内で受け入れやすいクリエイティブも固定されていきます。
例えば映像制作では、プロダクトの機能面を中心に伝える手法をとりがちです。しかし、今回のクリエイティブリレーのように、クリエイターとフラットな関係でコラボを行うことは魅力であり楽しさも生まれます。
VAIOは新しい会社ですがソニーから独立しているため、製品開発や技術力の面はしっかりとした土台の基にあり、こだわりの強さと、一方で設立7年の新しい会社でスタートアップのようなスピード感やフレキシブルさも融合しています。これからも、製品情報をお伝えするマーケティングコミュニケーション活動においても、クリエイターの方々との共創によって、製品自体と同様にこだわりの強さとフレキシブルさを、大切にしてきたいと考えています。

クリエイターとVAIOの新たな出会いをつくるために、継続的な取り組みをしていきたい

―今後の展望について聞かせてください。
一般コンシューマーとの接点が少なくなったことから、過去と比べるとブランド認知の低下という課題があります。今後はビジネスパーソンはもちろんですが、VAIOの認知度が低い若年層や、創作活動にPCを多用するクリエイターの方々など、新たな顧客層とVAIOの出会いを積極的につくっていきたいと思っています。

クリエイターとの取り組みについても、単発施策ではなく継続的な取り組みが重要になります。今回のクリエイティブリレーをきっかけに、様々なパートナーとも協力しながら、中長期的にクリエイターの方々との協業に努めていきたいと考えています。「クリエイターにはこんなPCがぴったり!」というコマーシャルをつくるのではなく、クリエイターの方々とお互いに刺激を受け合える新たな活動に挑戦してくことで、結果的にクリエイターの方々がPCを購入するタイミングでVAIOが検討候補になることができたら、とても嬉しいですね。

「VAIO®Z Creator Collaboration Movie」として制作した3本の映像作品

「挑戦って」篇 —AOI Pro.

Not with VAIO Z —LOBO

「可能性のその先へ VAIO Z」篇 —xpd